ブックタイトルライフアップVOL.80

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概要

ライフアップVOL.80

10 | LIFE UPが、医師には高度の技術と経験が求められます。当院には日本産科婦人科内視鏡学会の技術認定医が6人います。いずれも数多くの手術実績があるベテランばかりで、これだけの認定医がそろった病院はあまりありません。充実した陣容で低侵襲婦人科手術を提供しています。   ―外科で行っている低侵襲手術の主な症例はなんですか山本外科部長 がんを対象にして低侵襲手術(腹腔鏡下手術)を行っています。特に大腸がんの手術例が一番多く、腹腔鏡下手術の3割が大腸がんの手術です。日本では大腸がんの罹患率が急速に増えています。食生活の欧米化や生活習慣の乱れが原因と考えられていて、この20年間で5倍になっています。全国的ながんによる死亡数を見ても、男性は1位が肺、2位が胃、3位が大腸で、女性は1位が大腸、2位が肺、3位が胃の順番です(2014年国立がんセンター調べ)。 わたしは昨年7月から当院に着任しました。前任地の国立病院機構九州がんセンターや広島赤十字・原爆病院などで食道、胃、大腸のがんを中心にこれまでに約3000症の手術を経験し、積極的に低侵襲手術を行っています。―どのような手術ですか山本外科部長 胃も大腸も5ミリから10ミリ程度の五つの穴をお腹にあけます。四つの穴から鉗子などを入れて、おへそから入れたカメラで撮影したテレビモニターを見ながら、がんとその周辺部分を切除します。 高性能で鮮明な画像モニターを見ながらの手術ですから、開腹手術ではみえにくかった部分までよく見えて、より細かい手術が可能です。私の経験した過去のデータですが、リンパ節を取る場合も開腹手術に比べて腹腔鏡下手術の方がより多くリンパ節を取ることができます。これによりがんの根治性を向上させることができます。―やむなく開腹手術をするのはどのような場合ですか山本外科部長 大きな手術の既往のある方や癒着が高度の場合は腹腔鏡下手術では難しいため、初めから開腹手術としています。当院では、全体の1割は開腹手術です。開腹手術の場合はお腹を十数センチもあけますので、術後の痛みは大きいですが、低侵襲手術だと創部の痛みも軽減できます。 技術の進歩によって、将来的には傷口が1個だけだとか、もっと小さな穴で手術が可能になり数週間したら傷口も痛みもなくなるような時代が来るかもしれません。―がん対策について教えてください山本外科部長 早期のがんを見つけることが一番大切です。当院で手術された患者さんたちの半分以上は、健康診断でがんが発見された人たちです。自覚症状もなく、がんの進行度(ステージ)も低い段階でがんを見つけることができます。胃・大腸のがんは早期に発見できれば、ほぼ完治できる病気です。早い段階でがんを見つけることができれば、低侵襲手術も行いやすくなりますので、人間ドックでの健康診断を定期的に受診されることをお勧めします。【外科】大腸がん、胃がんなどを対象に手術リンパ節が多く取れ根治性が向上健康診断受診で早期にがん発見を山本外科部長の低侵襲手術山本学外科部長2016年の手術症例胃大腸乳腺甲状腺胆嚢肛門疾患ヘルニアその他胃 癌 1 5大腸 癌 5 29乳 癌 32甲状腺 癌 16胆嚢炎・胆石症胆嚢ポリープ0 33外痔 核 34痔 瘻 63直腸 脱 166例34 例46 例16 例33 例124 例12例 鼠径ヘルニ ア26 例計 321 例その 他 11乳腺腫瘤・その 他 14虫垂 24例 虫垂 炎 2411その 他 100臓器 疾患 開腹 鏡視下●下肢静脈瘤 155 例 ●胸部 気胸 13 例