ライフアップVOL.77

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ライフアップVOL.77

LIFE UP|21日本人間ドック学会などが4月に発表した血圧などの基準範囲に対して「正常値が変わった?」と思われた方も多く、マスコミの報道で波紋を広げました。福岡県大川市の「未病と健康のつどい」で講演した日本未病システム学会幹事理事の福生吉裕先生は、新基準が健康な人の検査データを元に設定されているのに対し、従来の基準は病気を発生させないスタンス、と説明。その上で、2種類の数値の食い違いの範囲を病気でも健康でもない「未病の値」として提唱したい、との考えを明らかにしました。未病の第一人者である福生先生によると、新しい基準範囲が新聞や週刊誌で取り上げられ、患者さんから医師らに「新基準なら大丈夫?」「いままでの基準は何だったのか」と問い合わせが相次いだそうです。日本人間ドック学会などの基準範囲は、人間ドック受診者150万人のデータから健康な人を選び、その検査値から設定しています。例えば高血圧。収縮期(最高)の新しい基準値の範囲は上限147?下限88(単位はmmHg)。上の血圧が147であっても病気がなく、薬を常用していない健康な人の割合が高いためすぐに病気になる確率は低いと考えられますが、血圧を下げる努力をした方がいい数値なのです。一方、日本高血圧学会は129までを正常血圧とし、原則として140以上を高血圧の治療対象にしています(いずれも上の血圧)。高血圧学会からみると、新基準範囲の上限147は決して安心とは言えないのです。私たちが、病気を発症させない側から見た血圧と健康な人の割合が多い数値の差をどう考えるかですが、人間ドック学会は「(これまでの)学会判定基準を変更するものではない」との声明を出しています。また、福生先生は高血圧学会の正常血圧に1を加えた130から、ドック学会の基準上限である147までを「未病の値」と位置付けました。未病の値を表現する際、これまで漠然としていたのです。自覚症状はありませんが、「この範囲は未病だから気をつけましょう」という考え方で健診や治療を決しておろそかにしてはいけないということです。未病は進む場合と進まない場合があり、「不安な時には高木病院の先生方に相談されるのもよろしいかと思います」と話されていました。◇「未病と健康のつどい」は6月15日(日)、「健診ドックの新しい話題」をテーマに、長野光範・福岡山王病院予防医学センター医長、田中薫・高木病院内科部長(神経内科)、松尾憲人・同病院予防医学センター婦人科部長、菊野基幸・同病院放射線科画像治療部長が各専門の視点から講演しました。高木病院の山本匡介・名誉病院長(日本未病システム学会常任理事)らの提唱によって始まったつどいは今回で8回目。未病の考え方は全国的に注目されており、神奈川県では「未病を治して健康寿命を伸ばそう」といった取り組みが行われています。基準範囲拡大でも健診、治療は重要第8回大川市「未病と健康のつどい」違いは健康と病気予防から見た数値未病の値を提唱へ山本匡介・高木病院名誉病院長福生吉裕先生収縮期血圧(単位:mmHg)ドック新基準14713014012912088治療対象治療対象基準値正常→未病の値→日本高血圧学会未病…日本未病システム学会によると、「自覚症状はないが、検査では異常がある状態」と「自覚症状はあるが、検査では異常がない状態」を合わせて「未病」と定義。自覚症状があり、検査でも異常がある状態を「病気」としています。T O P I C S