ライフアップVOL.75

ライフアップVOL.75 page 9/28

電子ブックを開く

このページは ライフアップVOL.75 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「電子ブックを開く」をクリックすると今すぐ対象ページへ移動します。

概要:
ライフアップVOL.75

高木病院放射線治療センターでは、今年4月、早渕尚文・久留米大学名誉教授を放射線治療センター長に迎え、服部睦行当院放射線治療センター医長が着任し、常勤医2名体制となりました。現在2人に1人はがんを患い、3人に1人はがんで死亡しています。患者さんのQOL(生活の質)に配慮した優しいがんの根治療法として最近注目を集めている『放射線治療』。放射線治療は今やがん治療の有益な方法の一つといえます。そんながん治療について早渕尚文・当院放射線治療センター長に伺いました。放射線治療が有効ながん「放射線治療は、身体への負担が少ないので、高齢の方や手術や抗がん剤に耐えられない方でも安心して受けられる治療法です」と早渕センター長。細胞分裂を止める放射線の作用を利用して腫瘍を縮小させるので、切らずにがんを治療できるという。しかし、どんながんにでも有効なのでしょうか?「放射線治療は基本的には全てのがんに有効ですが、得意なものと少し苦手なものがあります。得意なものは頭頸部のがん(喉頭がん、咽頭がんなど)や乳がん、食道がん、肺がんなどです。これらは、外科治療(手術)をすれば機能(働き)や形態(見た目)が失われますが、放射線治療では機能や形態を温存したまま治療できます。一方苦手なものは、形が一定でなく動きのある胃がんや大腸がんなどです。また手術による治療は主に初期のがん治療に対してのみ行われるのに対し、放射線治療は進行したがんの症状緩和(たとえば疼痛)にも有効です」腫瘍を狙ってピンポイント照射当センターでは、放射線治療装置「リニアック」を使います。リニアックは、エックス線や電子線などの放射線を当てて、体の外から体内のがんなど病気の部分に向けて放射線を必要な範囲で照射し、それを破壊したり進行を抑えたりします。そのため、体にメスを入れることなく治療でき、正常な組織へのダメージが少なく、それらの機能を残したまま治療ができます。身体への負担が軽く、体力的に衰えがある患者さまにとっても、痛みを感じることも少なく安心して治療が受けられます。がん治療をより高精度にIMRT装置導入へ従来のリニアックは非常に精度が高いのですが、腫瘍が正常組織を取り囲むように位置している場合は、正常組織を避けて腫瘍部分だけに照射することはできませんでした。しかし、当センターでは、腫瘍に放射線を集中し、周囲の正常組織への照射を減らすことができる強度変調放射線治療が可能なIMRT装置を来春に導入を予定しています。これにより、腫瘍の形に適した放射線治療を行う新しい照射方法で、副作用を軽減し、より強い放射線を腫瘍に照射することが可能になり、治せる可能性が高まります。日々進歩する放射線治療切らずに治すがん治療放射線治療装置リニアック非常に精度が高く、必要な範囲以外に照射される放射線も最小限に留めます医長服部睦行【出身医局】久留米大学放射線治療センター医師紹介IMRTも可能な放射線治療装置TOPICS高邦会放射線治療センター長早渕尚文国際医療福祉大学教授久留米大学名誉教授、医学博士放射線治療品質管理機構理事長日本頭頸部癌学会理事日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医第10回健康講座5月25日(土)に「手術しないがん治療」と題して、早渕尚文センター長が講演。約250人が参加して第10回健康講座が開かれました。8|LIFE UP