ライフアップVOL.75

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ライフアップVOL.75

高邦会NEWS―これまで、どのような治療に取り組んでこられましたか。横井宏佳循環器センター長(以下横井センター長):私は石川県出身で、金沢大学卒業後、同第一内科へ入局いたしました。その後、当時国内で特に先進的なカテーテル治療を行っていた小倉記念病院(北九州市)に興味を持ち、カテーテル治療を学ぼうと入職、数年のつもりが22年間勤めることとなりました。その間、術者として1万例のカテーテル治療を経験しました。―全国でもトップレベルの実績ですね。先生が手掛けられた治療は、心臓を動かすための血管の“つまり”を、カテーテルと呼ばれる管を入れて広げる大変難しい手術ですね。横井センター長:5万例ものPCI(冠動脈形成術)にも携わることができました。全国から治療困難な複雑病変(完全閉塞、左主幹部病変、高度石灰化病変)を有する患者さまがたくさん紹介され、多くの経験を積みました。また、冠動脈疾患を有する患者は全身の血管病を合併することが多く、頸動脈狭窄症は脳梗塞、腎動脈狭窄は難治性高血圧、腎不全、心不全、下肢動脈狭窄は間歇性跛行、重症下肢虚血の原因になります。これらの予防に、頸動脈、腎動脈、下肢動脈のカテーテル治療に積極的に取り組んでまいりました。PCI施行患者には冠動脈のみならず、全身の血管病と捉えて診療にあたることが、健康で長生きしていただくために重要である事に気付きました。―全身の血管の中で冠動脈の次に重要な部位は?横井センター長:特に下肢動脈硬化症(PAD)はPCI施行患者の5人に1人が合併し、適切な治療が施されなければ跛行症状で運動不足となり、血管内皮機能低下によるプラークの不安定化で新たな心血管イベントを発症するため、特に重要な血管でした。糖尿病、透析は無症状で下肢動脈硬化が進行することが多く、病気が見つかった時には壊死に陥り、下肢切断が余儀なくされることが少なくありません。下肢切断は歩行困難となり予後は極めて不良となります。そのため、地域の糖尿病、腎臓の専門の先生やかかりつけ医の先生と密接な連携をとり、ABIの早期施行や血管専門技師による精査、そして必要な患者さまには循環器科・血管外科で血行再建を行い、創傷患者は形成外科で創傷管理をお願いすること。この全過程に看護師はフットケアとして関わるような診療体制を確立することが重要だと思います。―今後福岡山王病院や、高木病院で取り組みたいことは?横井センター長:カテーテル治療は低侵襲、つまり身体への負担が少なくて済みます。できれば、すべての患者さまには胸を切らずに、カテーテル治療で健康で、長生きしていただきたいと思います。そのため、複雑病変に対する最新のカテーテル治療に加え、真に治療が必要な狭い部位を機能的検査(FFR、iFR)で分別し、最新の画像診断装置(OFDI、OCT、IVUS)を用いて、最適なステント治療を行い、非ステント治療部位には最適なプラーク安定化のための薬物治療を施すといった、冠動脈全体を治療するPCCI(包括的PCI)という新しい概念を導入したいと考えています。循環器センター長横井宏佳国際医療福祉大学・大学院教授日本心血管インターベンション治療学会理事日本心臓リハビリテーション学会理事フットケア学会、下肢救済足病学会理事前小倉記念病院循環器内科主任部長9月1日より、新設された福岡山王病院循環器センターと高木病院循環器センターのセンター長、国際医療福祉大学・大学院教授として、前小倉記念病院循環器内科主任部長の横井宏佳先生が着任しました。着任にあたって、心筋梗塞、脳梗塞の原因となる動脈硬化の予防として、特に力を入れている“足のケア”についての取り組み、当グループで実践したい目標などについて話を伺いました。高度循環器医療の提供に前進冠動脈の包括的な管理を長期に行うためにはかかりつけ医の先生との地域連携なしには実現できません。24時間365日緊急対応できる院内救急体制を整備し、信頼できる病診連携体制を確立します。1診断面では、最新の検査画像を用いてかかりつけ医の先生により的確でわかりやすい報告を行う体制の確立2予防においては各医療職が知識・技術を生かして一緒に取り組む体制の確立3院内では全身血管病診療体制を確立し、特に下肢動脈に関しては地域の糖尿病や透析の先生と連携し、足を守るチーム医療を展開します。■高邦会循環器センター/ハートリズムセンター地域連携イメージ救命、救急医療高度医療心不全脳血管大動脈腎血管下肢血管虚血性心疾患不整脈2次予防生活習慣改善かかりつけ医かかりつけ医地域医療連携紹介紹介救急外来ICU心臓リハビリ室高邦会循環器センターハートリズムセンター高邦会の循環器センター長に横井宏佳先生が着任ABI(足関節上肢血圧比)の検査LIFE UP|3